AAL037 Edwin van der Heide & Marnix de Nijs
   異次元のサウンドとスピードを体感する旅


いつも刺激的なオランダの旅

今回から「会いたい人に会いにゆく旅」、オランダ/ベルギー/フランス篇です。
オランダ、とりわけロッテルダムは、僕とケンジにとって縁が深くて、かけがえのない町。最初に訪れたのは、2003年頭のDEAF。犬の臭いうんこがたくさん放置されてる町中の運河に浮かぶボートハウスに泊まり、鈴木康広の「遊具の透視法」を設置・展示した。その時通訳をしてくれたのが、アーティストの上田麻希さんだった。

2年に一度のフェスティバルだと銘打つDEAFがその次あったのは一年後の2004年。僕のヨーロッパの母であるベルリンのコーディネーター野村さんと二人で、エドウィンの奥さん上田さんのHole in the earth、そしてマルニクスの名作Run Motherfucker Runに出会った。

そして2007年、久しぶりのDEAF。エドウィンの新作とマルニクスのリサーチ段階の作品に出会い、感嘆し、取材し、タバコを吸い、酒を飲み、二日酔う。僕らにとってエドウィンとマルニクスは、いつも新しい感覚を与えてくれる存在であり、だからロッテルダムがふるさとのように優しくて、大阪のようにグチャグチャで、東京のように刺激的な町に思えるのだろう。

そんな二人をフィーチャーした今回の特集、かなりエポックメイキングな作品に出会えるからビビらないでね。


ゲストは親友

年末の忙しい中、付き合ってくれるのはRoyal Collage of Artでプロダクト・デザインを研究している鈴木有理さん。2003年に明和電機にくっついて取材していた時に出会ってから、忙しい時間をヘビのダンスのように縫って語らう仲。今年の2月終わりに、Gwen Stefaniのインタビューでロンドンに2泊3日で行った時、他の友達と会ってビールをがぶ飲みしたせいで、ユーリさんと会うためにバスに乗ったはいいが、眠って終点まで行ってしまい、2時間以上も待たしてしまった... でも深夜のチャイナ・タウンで再会を祝い、空心菜を食べたのが思い出。午前5時、Bays Waterまで送ってくれました…ちなみに数時間後に行ったグウェンのインタビューも大成功...

果たしてユーリさんはどういう人なのか?文章で説明するより、ちょっと長いけどムービーを観るほうが分かるし、今回の映像もずっと楽しめるはず。

ゲストがどういう人なのか調べる (6min45)

まずは二人のコラボレーションを。有無を言わせない強力な作品です。

Spatial Sounds

歴史に名を刻む、名作中の名作。どんなにコンピュータテクノロジーが進化しても越えられない、音と物体移動の極地。巨大スピーカーが時速100キロで回転。以上。
(映像:デジタルアートフェスティバル東京2006で撮影)


PUSH/PULL

巨大なホバークラフトを操る。2つは無線で連携していて、目の前のホバークラフトを動かすと、その動きがもう1台にフィードバックされる。というわけで、遠くで発生した力が遠くに直に伝わるという作品。存在感が凄い。
(映像:デジタルアートフェスティバル東京2006で撮影)

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LSP

エドウィンのサウンド・センスが詰まったパフォーマンス。光と音が体に突き刺さる。
ロングバージョンはAAL036で紹介しています。そっちのほうが見ごたえあるから。


Beijing Accelerator

マルニクスが北京を訪れて作りました。実景が移りゆく体感スピードとコックピットが回転する速度の狭間で能と身体が問い会う作品。詳しくは年明けのZoneV2(台湾)で紹介するのでお楽しみに。


Run Motherfucker Run

ユーリさんも理屈抜きに面白いと言ってくれた、凄いインスタレーション。作品と対峙する実体験と、記憶の彼方にあるスピードへの恐怖と快感、そして誰もが体験済みの体感スピードと客観スピードのギャップが全て表現されています。
走らなければ、おのずと映像も遅くなる。しかし人々は渇望と快感のためにベルトコンベヤーの上でなぜか本気で走る。そこにアトラクションに備えているような達成感とゴールはなく、シーンがエンドレスに変わってゆくだけ。生きている以上、僕らは自分の時間、そして人生を駆け抜けなくちゃいけない。意外にそういうメタファーは日々の一瞬に凝縮されている。そして自分の生き様を作品でほんの一瞬垣間見る…メディアアートとゲームの違い、そしてこの世界の面白さを明確に表現したマルニクスの傑作です。

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空気の破裂音で奏でる、アナログな音響空間。マトリックスに頭上に配置されたバルヴが空気の存在感を際だたせる。「聞け、その後は聴け!」と言わんばかりの存在感、エドウィンらしい。

作品を見る (3min)


作家インタビュー1 (3min)  作家インタビュー2 (2min30)

残念だけど、この作品は研究段階で完成型ではなくても、僕はこの作品が好きじゃない。僕のエゴなのだけれど、マルニクスがやんなくてもいいと思う。もっと血液とか内臓をえぐったり、皮膚細胞をひっくり返してしまうような身体的なものを観てみたい。
でも、これまでとは何か違う感覚と体験を獲得しようとする挑戦が、とても彼らしくて好きだ。あとからマルニクスに聞いた話だけど、この作品はこれ以上発展させず、プロジェクトも終わりらしい。僕は、マルニクスの挑戦をこれからも見続けます。

作品を見る (4min)


作家インタビューを聴く (3min)